遺伝性乳がん卵巣がん症候群
遺伝性乳がん卵巣がん症候群
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)に対する取り組み
当院では遺伝子診療科、乳腺外科、周産・女性診療科(婦人科)、放射線診断科、形成外科など、複数の診療科がチームとなって遺伝性乳がん・卵巣がん症候群の診療にあたっています。
患者さんご本人やご家族のがんの状況から遺伝性がんのリスク評価を行い、お一人お一人にあった治療法・予防法のご相談・ご提案をいたします。
※受診には事前のご予約が必要です。当院担当医にお申し出頂くか、下記にお電話の上、遺伝子診療科・遺伝カウンセラーにお問い合わせください:
電話:03-5803-5670
(総合内科受付・平日10:00~17:00)
初診予約枠:月曜日午後、第2第3木曜日午後
遺伝性乳がん・卵巣がん症候群とは?
全がんの数%は遺伝性といわれています。例えば、乳がんのおよそ5%、卵巣がんのおよそ10%は遺伝性です。
BRCA1遺伝子もしくはBRCA2遺伝子は、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の原因遺伝子であることが知られており、この遺伝子に病気と関連する変化(遺伝子変異)があると、以下のような症状を示すことがあります:
- 若年(おおよそ40歳以下)で乳がんを発症しやすい
- トリプルネガティブ乳がんを発症しやすい
- お一人に2個以上の原発乳がんが発生しやすい
- 卵巣がんを発症しやすい
- 膵臓、前立腺などにがんが発生しやすい
遺伝カウンセリングでは何をするの?
「遺伝カウンセリング」では、患者さんご本人やご家族のがんの状況をお聞きして、お一人お一人の遺伝性がんのリスク評価を行います。そのうえで、遺伝性がんの詳しい説明や遺伝子検査のこと、今後の選択肢(治療・予防・検診など)、がんになっていないご家族への対応などを相談します。
あなたの乳がんや卵巣がんがHBOCである可能性があった場合、遺伝性かどうかを確かめたい時に「遺伝子検査」を受けることができます。また、がんになっていない方でも、既にご家族の中で遺伝子の変異が特定されている方は遺伝子検査の対象となります。遺伝子検査は採血で実施できます(自費の検査となります)。
BRCA1/2遺伝子に変異が見つかったら?
遺伝子検査の結果HBOCと診断されたら、がんになりやすい臓器(乳房、卵巣など)に焦点を当てた検診を実施します。また、がんの治療や予防に結び付けることができる場合もあります。具体的には:
(1)年1回の乳房MRI検査
(2)年1回の経腟超音波検査、腫瘍マーカー(CA125)検査
(3)予防的な乳房切除手術、予防的な卵巣・卵管切除手術
予防的な手術とは?
乳がんや卵巣がんになる前に予め乳房や卵巣を切除してがんリスクを下げる、「リスク低減乳房切除術(RRM)」「リスク低減卵巣・卵管切除術(RRSO)」の実施が、平成29年1月に当院の臨床倫理委員会で承認されました。
対象は、BRCA1遺伝子もしくはBRCA2遺伝子に変異が特定された方で、かつ予防的な手術をご希望される方です。実施に当たっては、手術のメリット・デメリット・限界について十分な理解が得られるよう、遺伝子診療科、乳腺外科、周産・女性診療科において事前のカウンセリングを行います。